フレデリック・ワイズマン『パブリック・ハウジング』ー シカゴの公共住宅
BGMなし、ナレーションなし、インタビューなし、のドキュメンタリー。
アフリカと決定的に違うこと
ワイズマンのすごいところ
我が家はBSを見られないのでこれを見ていませんが、リンク先のページを少し読んだだけでも、シカゴの状況はこの映画のときとほとんど変らないか、むしろ悪くなっているようです。10年足らずで貧困やドラッグや老人問題などが劇的に変ることはないでしょうが… この同じ団地の今を見てみたいです。
ある場面で、(おそらく)管理組合(か、住民代表? 単に希望者?)に対し、この団地への公的資金補助のようなことについて、(なんらかの)公的な立場の人が説明します。
「仕事がない? 会社を立ち上げればいい。年間??万ドル(数字忘れました)の資金がここに割り当てられる。立ち上げた会社でここの改修工事を請け負えばいい」
住民の一人が言います。
「仕事がある? 自分は7年(?数字忘れました)も前から塗装の会社をやっている。でもいつもいつもよそから来る業者が目の前で仕事をしているのを見ているしかない」
説明をしに来た人物は、大丈夫だ、仕事はある、とあくまでも楽観的ですが、住民の表情は晴れません。場面は別のところへ移ります。
この人物がのちに、この地域の学校(たしか大学)で、まったく同じ話をするんです。ハンドマイクを持って、ちょっとエキサイティングな感じで。
彼はこの地区出身で、プロバスケットボールの選手を経て現在の(なんらかの)公的立場の仕事をしている、とここでわかります。
学生たち(だけじゃありませんでしたが)の中には、彼の話を静かに聞いている人もいますが、イエーと盛り上がる人たちもいます。
そこで映画は終わります。ぶつっと。
この終わり方。
ここで観ている者はいろいろと考えさせられます。
こういうところがワイズマンのおもしろさであり、すごさのひとつだと思います。