『ジャニス リトル・ガール・ブルー』
初日に観てきました。
ジャニス、好きでしたねー。今でも好きですが。
その存在を知ったのは十代のころでしたが、そのころにはすでに彼女は亡くなっていました。
はみ出し者の歌
当時は”どうにもはみ出している自分”を彼女に重ね合わせている部分もあった思います。
彼女の歌はとにかく心に沁みました。
この映画のタイトルとなっている『リトル・ガール・ブルー』も大好きで、これを聴くと今でもあのころの自分の心情が湧き上がってきます。
Janis Joplin - Little Girl Blue (This is Tom Jones, 1969)
映画の中では、”どのように”ということについてはさほど詳しく触れていませんが、ジャニスもまたはみ出している人だったということは語られています。
けれどもジャニスの背景を知る前から、彼女の歌は私にとってそれ自体で心を打ってくるものでした。
いつだったか、ラジオで『ジャニス物語』みたいなものを、確か二夜とか三夜連続で放送していて、普段ラジオなどまったく聴かない私でしたが、暗い部屋のベッドの中で聴いた覚えがあります。録音までして、繰り返し聞いたものでした。
町山智浩氏がTBSラジオ『たまむすび』の中でこの映画について語っていることを文字起こしされているサイトがありました。二重引用で恐縮ですが、リンクをはらせていただきます。
ここには、ジャニスの歌がなぜ響くのか、についてのひとつの見解が述べられています。
豪快さの影に隠れた”リトル・ガール・ブルー”
先ほど書いたラジオの番組で語られていたことと、この映画で語られていることはほとんど同じで、だから私にとって目新しい部分はありませんでした。本人の映像はほとんどが目にしたことのあるものでしたし。
妹、弟、バンド仲間、過去の恋人…などが登場しますが、私にはやはりちょっと物足りない気がしました。それはたぶん、ジャニスの”リトル・ガール・ブルー”の部分をもっと知りたかったせいかもしれません。それにはジャニスと両親との関係についての情報が少なすぎました。
ジャニスが家族にあてて書いた手紙が、要所要所で読まれます。けれどもそれに対する返信は、あったのかなかったのか、たぶんあったと思いますが、登場しません。(もしかしたら”登場しないこと”自体に意味があったのかも…と、今、思いましたが)
とにかくもう少し深く切り込んで欲しかった、というのが正直なところです。
とはいえ、ジャニスを知らない人にはお勧めの映画ではあります。
知っている人も観て損はないでしょう。