フレデリック・ワイズマン『アスペン』ー かつて栄えた銀鉱山の街
今年のシネマヴェーラの特集上映で観た6本目は、最後になりますが、『アスペン』です。
原題:Aspen
公開年:1991年
142分、カラー、16mm
ワイズマンの作品は学校や病院、軍事施設など特殊な場所を扱ったものが多いですが、この『アスペン』のように少し広範囲な場所、地域を扱ったものもあります。
今回の特集上映で最初に見た『パブリック・ハウジング』もそうですし、ニューヨークのセントラルパークを撮った『セントラルパーク』もおもしろかった。
この『アスペン』は、私にとっては、前記二作と比べてあまり面白さを感じる作品ではありませんでした。でもそれは私の趣味というか興味の向かう先がそこになかったというだけのことだと思います。
19世紀に銀鉱山として有名だったアスペンはスキーのリゾート地となる。
それでも鉱山としての機能はまだはたしているのか、鉱夫の姿もある。それとは対照的な豪邸でのディナー会の様子や、庶民的な家族の親戚一同が集まった結婚記念日のパーティー、読書会で意見を交わし合う人々、ギャラリーでの展覧会…
これらを見る限り、若い人々の姿は少なく、活気があるようなないような、微妙な街だなあという印象です。リゾート地である以外は、典型的な田舎町、なのかもしれません。
貧富の対立、新旧の対立、自然と人工の対立、といったことよりも、「私の居場所はここにはない」と思わせる何かを感じました。
表面ではやさしく迎え入れてくれたとしても、決して踏み越えられない柵のようなものが、そこここにあるというか…
私がここで暮らす若者だったら、この街を出たいと思ったんじゃないかな(街の人には失礼ですが)。とりたててどこが嫌だというのではないんです。ただぼんやりとした閉塞感がある。
おそらく日本にもこういった場所があるような気がします。
どうもぼんやりした感想しかでてきません…
また観る機会があれば、もう少しわかるかな?